映画・犬王を見ました。 感想 2023年09月13日 どうも菌です。今日は何となく気が向いたので映画「犬王」を見ました。前々から見たいとは思っていたのですが、病気もあってさすがに映画館には行けなかったので、ちょうどいいタイミングだと思い頑張ってみました。 結論から言えば、映像と音楽は百点満点だと思いました。めちゃくちゃ凄い。犬王と友魚、どちらもアフレコと歌唱力が物凄かった。それから映像も源平合戦直後の時代でありながら、それっぽい工夫をしつつ、現代風にアレンジしてて凄かったです。アヴちゃんてすげえんだな…。 ストーリーは世間からはみ出した二人の少年が、音楽を通じて少しずつ友情を育み、そしてその音楽で観衆たちを魅了していくものです。ですが時代は源平の壇ノ浦が終わり、南北朝でいささか混乱していた時代です。アニメの平家物語の後の話ですね。なのではっきり言ってかなり血生臭いです。普通にグロがあってびっくりした。犬王たちが見せる華やかなステージとは裏腹に、そこはめっちゃくちゃ薄暗くてグロテスクです。犬王のお父さんがあまりにもクズでびっくりした。ていうかあれの元ネタどろろだよなあ。同じお父さんでも友魚のお父さんはまだ殺された恨みがあるからあれはまだマシだった。 最終的に頂点に立った二人は時代の波に飲まれて引き裂かれてしまいますが、犬王はともかくとして友魚があそこまで犬王に執着したのにびっくりした。犬王は自分の異形を一番最初に認めてくれたから友魚に思い入れが強くても分かるけれど、友魚にとって犬王はどれだけの存在だったんだろう。そこらへんもっと欲しかったなあって思いました。自分を琵琶法師の道に引き入れてくれた兄弟子が死んでも己を貫くって相当だと思う。そう考えると、犬王はまだ線引きが出来たタイプだったのかなあ。これに関しては私の読解力が無かったのかもしれない。 それからびっくりしたのが犬王の本当の素顔です。もっとイケメン系なのかと思いきや、バットマンのジョーカーみたいな感じだったのでそれ!?ってなりました。髪色も緑っぽいからますますそう見えてしまう。逆にあそこ意識したのかなあ。アヴちゃんの声が爽やかというか可愛さも感じられる声色なので、もっと優男なんだと思い込んでいました。 友魚は600年もずっと犬王の物語を、平家の物語を綴っていました。それをようやっと犬王が見つけてくれる。名前を変えたから分からなかった、という伏線は良かったです。でももうちょい早く見つけてあげて欲しかったな…。まああの状態なら地縛霊みたいなもんだし、逆に探しづらかったのかもしれない。 犬王を見た感想は昔の音楽や能をを現代風にアレンジする、というアイデアは凄くいいな、と思いました。ただ音楽や映像を重視してしまったせいで、ちょっとストーリーや深掘りが弱めかな、というのが残念なところだと思いました。犬王と友魚だけで始めたはずの活動なのに、いつの間にか…初演から仲間がいる、一回のみの公演なのに観客が完璧にレスポンスが出来ている(普通なら初見だとついていけないはず)、等々です。そこらへんがあまりにも唐突過ぎたのが残念でした。ポイントポイントはいいのに、そこへ繋がる積み重ねの部分が全部切り落とされている、という印象を受けました。 色々残念な部分もありましたが、それでも見ごたえのある素晴らしい映画だと思いました。楽しかったー。 PR