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ご飯とかお出掛けとか推しとか何か色々。

おもいでエマノンを読んだ。


 私は最近、アマゾンプライム会員であるのを利用して、Kindleで小説を読むようになった。自分の文章力を上げるための勉強でもあるし、動画を長時間見続けると気持ち悪くなってしまうので、文章の方が体調に合っていて都合が良かったためだ。


 とりあえずジャンルは問わずに(病気なのでホラーやあまりにも精神的に苦痛を伴いそうなモノは除く)あれこれ読んでいるのだが、そこで「おもいでエマノン」という小説に出会った。昭和の頃に書かれたSF小説で、かなり有名な作品であることを私は読後に知った。


 物語はエマノンという女性を主人公にした短編集で、様々な時代、場所、そもそもの主人公のエマノンすらも代替わりしていくという面白い題材だった。エマノンは地球で生命が生まれてからの記憶をすべて持っている特殊な能力者で、劇中には、彼女以外の能力者も登場し、様々なかたちで関わっていく。けれどいつも最後には、エマノンはタバコをくゆらせながら、ひとりで旅立っていく。


 私はこのエマノンという女性と話の内容がとても気に入って、サクサクと一冊を読み終えてしまった。億単位の年月の記憶を持つエマノンの葛藤や諦めにも似た感情、それでいて今の時代を必死に生き、誰かを愛する姿がとても眩しかった。「エマノン」という役目を終えた女性の悲哀にもとても惹かれてしまった。


 また題材も昭和の時代でありながら、今の時代にも通ずるテーマを扱っていたりして、とても面白かった。文章に古臭さというのだろうか、そういうのを感じなかったからそう感じたのかもしれない。恐らくエマノンは昭和を、平成を、そして今の令和も、飄々としながらも、新しい記憶を刻みながら生きているんだろう。そう思わせる物語だった。とても面白かった。


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