天使のたまごを見ました。 感想 2023年05月17日 どうも菌です。今日は押井監督の問題作、天使のたまごを見ました。前から噂だけは聞いたことがあった上にアマプラに入っていたので、短い時間だし試してみよう、って感じで見てみました。ぶっちゃけるとストーリーが難解というか、そもそもストーリーがあるのかすら謎で、何か凄い作品だったなあっていうのが正直な感想です。かろうじてノアの箱舟の話が出ていたので、もしかしたらノアの鳩がオリーブの枝を持ってこれなかったイフの世界なのかもしれません。世界中水浸しだったし。 物語は海に落ちていく巨大な建造物から始まり、たまごを抱いた女の子と、巨大な銃を持った男の子の、出会いから別れを描いています。ひとつだけ言えるのは映像がとてつもなく美しい。壁や地面を泳ぐ巨大な魚やヨーロッパ風の建物たち、そして美しくもグロテスクな化石たち。キャラも天野絵がそのまんま動いています。凄い。髪の毛とか細かすぎてびっくりした。音楽も綺麗だけれどどこか不協和音があって、ますます作品を一層不思議なものにしていきます。 結局、たまごの中身は空で、少女は無を、幻想を抱いていただけだったと判明しますが、そのときの慟哭が本当に悲しげでつらかった。天使の化石があったからなおさら信じていたんだろうなあ。でも夢はいつかは覚めるものだから、自分が気付くか誰かがそれを気付かせないといけない。男の子はそうとうつらかっただろうなあ。それがあの焚火での無音シーンなんだろうなあ。 結局女の子はあの巨大な建造物が作り上げた仮初の存在だったのか、それとも女の子が夢から覚めてあの中に入り込んだのか、そもそも彼女がいたのかすら謎で終わります。男の子だけがぼんやりとそれを見上げているから、彼にしか答えは分かりません。それ以上の情報が、説明がまったくない。そして彼らがいた場所も、巨大な箱舟なのだと最後に分かります。何だかどこまでも救われない、最後まで寂しい映画だなあと思いました。あー、男の子は許されなかったノアなのかなあ。そうとも取れますね。見る人によっていくらでも想像できるのが凄いけど、これだけ難解だとそこまで辿り着くのが難しそう。とにかく映像と音楽に圧倒された作品でした。そんな感じ。 PR